第一章第52話「中秋節前夜」 : Addicted to them

【小海舌戰姜圓（グーハイとジャンユエンの舌戦）】

「何か飲む？」ジャンユエンはグーハイに笑顔を向けた。
　グーハイは店員に向かって顎をあげて、下がって構わないと合図した。
「何も飲まない。何か話があるなら直接言ってくれ。」
「こうして会いに来たのは、あなたのお父さんと相談したからなんだけど……」
「俺に戻ってもらいたいと言うなら、何も言う必要はない。」グーハイはジャンユエンの話を遮ると、態度を硬くした。「俺があんたたちと一緒に生活することは無い。」

「違うの……」ジャンユエンは無理に笑った。「誤解しているわ。私たちはあなたと暮らすことを無理強いしたくはないの。私たちの考えはこうよ。あなたには今までの家に戻ってもらって、そしたら私とお父さんが引っ越すわ。そうすれば、あなたが外で一人放浪する必要はないでしょ。外の方がどんなに良くても、実家には及ばないでしょう？あなたのお母様もあの家でずっと暮らしていたんだもの。あなたも家に思い入れはあるでしょう？……」
「俺がいつ帰ろうと、どうやって帰ろうと、それはあなたには関係ないだろ？」
　
　ジャンユエンはしばらくの間、じっとグーハイを見つめた。
「あなたは私の息子に本当によく似ているわ。」そう言うと、突然朗らかに笑い出し、周囲の人の目を引いた。
「二人とも人を言いこめるのが上手いわね。」
　グーハイは無表情で、ジャンユエンを冷たく見ていた。彼女は笑うのをやめると、冗談が面白くないことに気付いた。グーハイが最も嫌なのは、グーウェイティンやジャンユエンがグーハイの前でもう一人の家族について言及し、既に壊れた家庭環境を脳裏にまざまざと叩きつけられることだ。

「誤解しないで。私は…ちょっと、あなたを見たら、どう話していいか分からなかったの。私の息子との関係もこんな感じで、私が何を言っても、あの子はいつも反抗的な態度をとる。あなたたちの世代の子たちとコミュニケーションが不足しているのね。だからこれからはよく学んで、理解しようと思ってるわ。……」
「話は終わりか？」
「え？」ジャンユエンはまた考えを乱された。

　グーハイは立ち上がり、「終わったなら帰る。」と言った。
「いいえ、ちょっと待って。」ジャンユエンも立ち上がった。「あなたは私を母親とは思ってないけど、私はずっとあなたを息子として見ているわ。だから早く家に戻ってきてほしいの。私を気に入らなければ、しばらく家を出るわ。大学入試が終わって、新しい生活を始めるのを待って、私は戻るわ。」
「笑止千万！」グーハイは振り返った。「もしそれが本当の誠意なら、どうして親父と結婚する必要があるんだ？」
　ジャンユエンは言葉が出なかった。
　グーハイは冷たく笑い、大股で立ち去った。

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　夜8時、グーハイは天津に向かっていた。

　天津南駅を出るやいなや抱擁に包まれて、ジンルールーはグーハイの背中をたたくと、「やっと私に会いに来てくれたのね。」と愚痴を言った。

　グーハイはジンルールーに包装された有名な月餅を渡した。「明日は中秋節だろ。一緒に過ごそうぜ。」

　ジンルールーはその言葉を聞いた時、心の中でどれほど感動したか知れなかった。グーハイがそのように言うということは、グーハイの中で自分が最も近しい存在であることを証明していた。

「そうそう、あなたに新しい服を買ったの。帰ったら着替えてね。今着ている服、どんな格好してるか分かってる？」ジンルールーはそう話しながら、グーハイの襟口を引っ張った。

　珍しく、今回グーハイはジンルールーの頼みを断らなかった。北京から100km離れた場所にいるから、自分の身分がばれることを心配する必要がなかったからかもしれない。ブランド物の服に着替えると、グーハイのすらっとした体形は非常に目を引き、街を歩くと常に視線を集めていて、イライラしたジンルールーは時折口を曲げていた。

「ねぇ、約束して。北京に戻ったら、いつもの安っぽい服を着てね。私に会いに来てくれたら、これを着ることができるから。」

　グーハイは冷たく溜め息をついた。北京に戻ったら、着るのを無理強いしても着れないさ。

　ジンルールーは歩きながらグーハイを眺め、彼の目が合うまでずっと見つめていた。

「何見てるんだ？」

　ジンルールーは口をすぼめて笑った。「あなたはまた変わって戻ってきたことが分かったの。」
　グーハイは冷たく厳しい目線をジンルールーに向けた。「変わって戻って来たって、何が？」

「この前あなたに会いに行って、3日間過ごしたとき、あなたは何かに憑依されたかのようだったわ。よく私に笑ってくれて、時々素敵なことを言ってくれたけど、以前はそんなことしてくれなかった。でも今回はそんなことなくて、普通に戻ったみたい。あんなに優しくなくて、会話も少ない。何に対しても無関心なようだし……」
「それはつまり、昔の俺はお前に対して酷かったってことか？」
「違う違う、逆で、そんなあなたが好きなの。安心感があるから。」

　グーハイは突然立ち止まり、振り返ってジンルールーを見ると、「お前は俺が真面目な人間だと思うか？」と尋ねた。
　くすくすとジンルールーは笑った。
「バカね、当然じゃない。そうでなければ、何であなたと一緒にいるのよ。」
「……」

　第52話。
　こないだは、白洛因vs顧威霆。今回は、顧海vs姜圓。
　笑止千万!と訳したのはわざとですｗ
　後半は、舞台が天津へ。
　みんな大好き!?金璐璐が再び登場。
　タイトル適当です。
　つづく。